Jw-cadで紙飛行機「Rei2」の重心と重さを調べる

前回はJw-cadで図形の重心と重さを調べました。これを応用して、新たに「Rei2」という紙飛行機を設計し、その重心位置と質量を調べてみます。

重心の計算方法

各パーツの重心位置×質量を合算した値は、全体の重心位置×質量の値と同じです。

MX = m_1x_1 + m_2x_2 + m_3x_3   (1)

Mは全質量[g]、Xは全体の重心位置までの距離[cm]、m1~m3は各パーツの質量[g]、x1~x3は各パーツの重心位置までの距離[cm]を表しています。
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(1)式を変形すれば、重心位置X[cm]が計算できます。

X = \Large\frac{m_1x_1 + m_2x_2 + m_3x_3}{M} = \frac{m_1x_1 + m_2x_2 + m_3x_3}{m_1 + m_2 + m_3}   \normalsize(2)

高校物理の重心の計算式ですね。
単位にcmやgを使っていることを気にする方もおられましょうが、紙飛行機を作るときはこちらの方が便利なので、これでいきます。

また、力としての重量Wを出すときには、重力加速度をかける必要があるのですが、今回は重心位置を求めるだけなので省略しています。

Jw-cadで重心と重量を調べる

機首の先端を基点とし、そこから各部品の重心位置までの距離と面積を調べていきます。面積図心を求める外部変形の使い方については、前回の記事を参考にしてください。

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この重心位置xと面積sを記録します。

単位面積あたりの質量

m1の質量は次の式で計算します。

m_1 = s_1×0.021   (3)

s1はパーツ1の面積[cm^2]、0.021は単位面積当たりの質量[g/cm^2]です。

面積に単位面積あたりの質量をかけて、各部品の質量mを出しています。自分が使用しているケント紙は、210g/m²なので、1cm²あたり0.021gです。

接着材の質量も考慮しなければならないので、自分の場合はセメダインを塗る面積に、1cm²あたり0.004gかけて計算します。これらの値は、ケント紙の種類やセメダインの塗り方によって変化するので、各人で決めてみてください。

これらの値を(2)式に代入して計算します。
計算結果はスプレッドシートにまとめてあります↓

AKDsign - Rei2 - Google スプレッドシート

3つの紙飛行機

今回は重心位置を主翼空力平均翼弦長(MAC)の前から90,95,100%の位置に設定し、3種類の紙飛行機を作りました。といっても、機首部分につけるオモリを調整して重心位置を変えているだけなのですが。

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↑それぞれの機首のオモリ

重心が機首に近いMAC90%のものは機首のオモリを大きくし、逆に重心が尾翼に近いMAC100%は機首を削っています。少しずつ形を調整し、目標値に近づける地道な作業です。

組み立てるとこんな感じになります↓

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計算値と実測値の比較

紙飛行機を組立て、計算値と実際に測定した値との差を比較してみます。

重さ

重さを0.01gまで測定できるはかりを使用して測定しました。

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↑重量測定の様子

設定重心 MAC90% MAC95% MAC100%
計算質量[g] 5.74 5.58 5.46
実測質量[g] 5.70 5.61 5.52

誤差は最大で±0.06gとなりました。はかりの精度や組み立ての出来等により、どうしてもバラつきが出てしまいます。まあ、まずまずの結果ではないでしょうか。

重心位置

重心位置の測定は、ピンセットで主翼を支え、傾かずにバランスが取れる位置を探して行いました。また、MAC100%のものは、ピンセットで支えることが出来なかったため、針で支えています。
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目標重心位置は、図のように縦線を引いて目印にしています。
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↑MAC90%の重心

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↑MAC95%の重心

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↑MAC100%の重心

雑な測定方法ですが、ほぼ目標とする重心位置になっているように見えますね。

おまけ

Rei2の設計データとJw-cadのデータを載せておきます。自由に使ってください。